ここ数年、腸管免疫という言葉が良く聞かれます。人体の最大の免疫器官は腸管です。
細菌やウイルスが侵入してくるとその最前線にあるのは、消化管の粘液層だそうです。この粘液が異物の侵入を防ぐために重要な役割を担っています。消化管の胃、大腸には厚い粘液層がありますが、免疫の主戦場である小腸はこの粘液層がとても薄いとのこと。また気道上皮も厚い粘液で覆われていますが、肺胞はガス交換をしなくてはならないため厚い粘液層がありません。現在の新型ウイルス感染症でも胃腸障害や、急速に肺炎が進んでしまうことがこのあたりと関係があるかもしれません。
この粘液層は腸内細菌叢と深い関りがあり、食物繊維の摂取不足がこの粘液層の低下を引き起こすそうです。人によって感染症状が異なるのも食生活が関わっているのかも。
そこで進んで摂りたいのがお腹の中で善玉菌の餌となる“高発酵性食物繊維”。次のようなものです。
*オリゴ糖を含む食材・・・玉ねぎ、きなこ
*レジスタントスターチを含む食材・・・長芋、山芋、玄米、あずき
*水溶性食物繊維・・・のり、ひじき、わかめ、昆布、きのこ類、ごぼう、にんじん、大根、フルーツ
世界的にみても最近の日本人の食物繊維摂取量は不足しているとのこと。焼き魚にわかめのお味噌汁、切り干し大根の焚き物。昭和のお食事がやっぱりいいんだと思います。
参考文献:アンチエイジング医学―日本抗加齢医学会 Vol.16No.3 050~061